私が語りはじめた彼は

私が語りはじめた彼は

私が語りはじめた彼は

久しぶりにマンガ以外のモノについて書く気がします。
読み終わりました、三浦しをんの『私が語りはじめた彼は』。
色んなところで大絶賛なのが分かったッ! いやいや、スゴイよ、ホント!
どんな話しなのかってのは、新潮社のHP(http://shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=454103-6)でも見てもらうとして、でも、見てもらっても読んでもらわなくちゃ分かんないだろうと思う、この本の面白さは。
私もあらすじを聞いた時は興味をそそられなくて、機会があったらそのうち読もう……とか思ってたけど、読んですぐに、なんであの時読まなかったんだろう? って後悔すると同時に、機会があってよかった〜!! って心の底から思いました。


まずいきなり、あの二千年前の皇帝のと寵姫の話。
あんなに残酷な話しが淡々と書かれていて、一滴の血の匂いもしてこなくて、寧ろ美しくさえあるってのはなんだろう?
のっけからいきなりガツンと殴られた気がしました。
でも、それはこの話に限ることではなくて、この本全体に云えることでした。
愛、嫉妬、憎しみ、哀しみ、生も死、ドロドロとした欠片さえ感じさせることなく、凪の海の静けさを語るみたいに美しく書かれてるんです。
一体なにが彼女(彼)をそうさせたのか、知ろうと必死に読み進めて、結局なに一つ掴めなくて、なんにもないところにただ風が吹いてて、それがかえって心地いいみたいな、そんな感じ。
どれも最高に素晴らしかったけど、どれが一番好きだったかと聞かれれば「予言」かなって思います。(私をよく知ってる人は「やっぱり!」と思うでしょう。)
ずぶ濡れで身を寄せ合うふたりと、降りつもり雪と、静かにやってくる世界の終り──美しすぎて参ってしまった。


久しぶりにイイモノ読ませて頂きました。
ごちそうさま。