死神の精度

死神の精度

死神の精度

読み終わりました。
短編集なんで焦って読まなければならないという切迫感はないのだけど、面白くて、結局のんびりと読んでなんていられなかった。
んん? ああ、いやぁ……、それもちょっと違うような気がするなぁ。面白いっていうよりも、心地いいって感じでしょうか。
早く文字を追わなくては、早くページを繰らなくては、なんていう高揚した気持ちよりも、読めば読むほど心が静かになっていく感じが心地よくて次のページを繰りたくなる──みたいな感じです。
そうだ。本を読んでいる時よりも、音楽を聞いているときの心に近い、なんかそんな感じです。
さすがは音楽好きの死神のお話だねぇ。


どの話について聞かれても、「うん、好き! 好き!」と答えてしまいそうな勢いです。
「吹雪に死神」の、まるで本格モノの見事なパロディには笑っちゃったし、「死神と藤田」では、私も阿久津くんと一緒に藤田教になってたし、「死神対老女」を読んだときの驚きと感動と云ったら……ねえ。
素晴らしいと思うのは、「死神」なんて主人公を扱いながら「死」という思いテーマを引っさげて、出来たお話はこんなにもコミカルで明るくて、そして生きてくことが愛おしくなるような作品ばかりで──さすが、さすがだわッ!
読後感は、まさに溶け込んでしまいそうな青空*1ですよ!
素晴らしい。


しかし、「吹雪に死神」を読んだお陰で、なんかベタベタの本格モノが久々に読みたくなってきた。
密室モノとかイイなぁ。
手持ちの本でも読み返してみようかな。

*1:読んだ方は頷いて下さい。